第446回月例会
2024年2月15日(木) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催
福岡大学 研究推進部 特命研究教授 八尾 滋 氏
「ポリマーのリサイクル技術の課題と現状ならびに将来構想」
(ご講演概要)プラスチックのリサイクルは、単に環境問題にとどまらず、資源循環ならびにカーボンニュートラルの観点からも、避けては通れない課題である。しかし従来プラスチックは、使用済プラスチックのみならず、成形過程での副生物でさえも再生不可能な「劣化」を起こしているために再利用には適用できないという常識により呪縛され、全く研究開発に手が付けられていなかった。しかし最近の我々の研究により、この劣化は成形履歴などにより内部構造が変異したための物理劣化であり、成形プロセスを選ぶことで大きく再生できることが見いだされた。また同時にこの現象の応用として、成形においても条件設定により力学特性のみならずリサイクル特性が変化することも明らかになった。これら現象は高分子の挙動を物理的に捉えることで新たな環境配慮設計が可能であることを意味している。本講演では、この現象の基盤となっている「物理劣化・物理再生理論」を理解するために、高分子の基礎物性からその挙動を学び、成形がプラスチックの力学物性に及ぼす影響などについて理解するとともに、プラスチックのリサイクルや製造に対する取り組み方について、あるべき方策などについて考える。
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