2016年11月14日月曜日

2016年11月/第365回月例会

第365回月例会
2016年11月14日(月) 於:北陸先端科学技術大学院大学
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)見学

講演1
JAIST 先端科学技術研究科 教授  金子 達雄 様
『エキゾチックな未利用バイオ分子を用いたスーパーエンプラの開発』
(講演概要)バイオ分子のほとんどは複雑な構造を持つ。一方乳酸のように単純な構造の脂肪族系分子も存在するため、これらはバイオプラスチック原料として広く利用されてきた。
しかし、脂肪族系であるため耐熱性や力学物性は比較的低く使い捨て部品としての利用が多いようである。このような背景の下で、演者らは複雑な構造の未利用バイオ分子を敢えて選択しスーパーエンプラに匹敵する性能の「高性能バイオプラスチック」を開発してきた。本件では、これらの開発の経緯、分子設計指針、構造物性の特徴、今後の展開に関して報告する。

講演2
JAIST 先端科学技術研究科 准教授  谷池 俊明 様
『リアクターグラニュール技術を用いた新規ポリオレフィン系ナノコンポジットの開発』
(講演概要)ポリマーナノコンポジットは、少量のナノフィラーの添加によって劇的な物性改善を成すことに特徴を有する技術である。発表では、ポリオレフィン系ナノコンポジットの歴史と我々の試み、特にポリプロピレンの重合粉末(リアクターグラニュール)を利用したポリオレフィン系ナノコンポジットの新規調製法について、構造・物性設計の実例を交えながら、概説する

講演3
JAIST 先端科学技術研究科 助教  桶葭 興資 様
『界面不安定性による超高分子多糖類のマクロ空間認識』
(講演概要)乾燥環境に適応した植物の細胞壁や細胞質は高分子多糖類で構成され、その構造異方性と空間分割を利用することによってウエットな空間を造っている。我々はこれまでに、ラン藻由来の高分子多糖類サクランを抽出し、その液晶性・生体適合性の解明、異方性ゲルの作製に成功している。さらに直近の研究において、その高分子が液晶の構成単位として巨大ロッド状ミクロドメイン(外径1-2 μm, 長さ20 μm以上)を形成すること、そして乾燥時に蒸発面で広く界面配向することを見出している。本研究では、制限空間からの高分子析出挙動に着目し、乾燥によって誘起されるピン止め効果と散逸構造の形成について報告する。

研究発表1 JAIST 金子研究室
JAIST マテリアル研究科 Post doc researcher (CREST Japan)  Mohammad Asif Ali
『Environmentally degradable biobased plastics from renewable itaconic acid and their composites with montmorillonite』
(講演概要)The development of high-performance, environmentally-degradable polymers usable as engineering plastics from renewable resources are significant for the establishment of a sustainable society. Then we focus on bioplastics NylonTM from widely-produced biomolecules such as itaconic acid which is derived from fermentation of glucose in the presence of Aspergillus terreus. The resulting bio-derived composites show degradable behaviors inside soil and under ultraviolet-irradiation in water.

研究発表2 JAIST 谷池研究室
JAIST 先端科学技術研究科 助教 Chammingkwan, Patchanee
『In-Situ Grafting of Nanoparticles Through End-Funtionalized Polypropylene for High-Performance Nanocomposites』
(講演概要)Polymer nanocomposites are an important class of materials, in which a small fraction of nanoparticles dispersed in polymer matrices induces drastic reinforcements and enhanced functionalities. While polypropylene (PP)-based nanocomposites are highly desirable owing to its huge potential applications, the fabrication of fully dispersed nanoparticles in PP matrices is extremely challenging owing to the incompatibility and the absence of effective interaction between polymer matrices and nanofillers. In this talk, the grafting strategy was employed to strengthen the interfacial interaction between matrices and nanofillers without the use of compatibilizer. Two types of end-funtionalized PP, namely hydroxyl-terminated PP and Si(OEt)3-terminated PP, were fabricated via metallocene catalyzed polymerization and post-polymerization approaches before melt mixing with SiO2 nanoparticles to implement the in-situ grafting at the chain end. Grafting of end-functionalized PP chains to nanoparticles not only improves the dispersion of nanoparticles through improved interfacial interaction but also endows mechanical reinforcements through cocrystallization.
 技術紹介
ゴム技術フォーラム(㈱ブリヂストン フェロー)  滝澤 俊樹 様
『タイヤ用エラストマーの開発事例』
(講演概要)気候変動対策は、自動車業界にとっても重要な課題となっている。特に、走行
時に排出するCO2の削減を推進することを目的とした燃費規制は厳しさを増している。
このような背景のもと、タイヤの転がり抵抗を低減させるために高度な分子設計を行った高性能エラストマーの開発が行われている。
 本講演では、タイヤの転がり抵抗低減をはかるためのエラストマーの開発事例を主に紹介する。