第346回月例会
2015年4月3日(金) 於 東部ビル (赤坂見附)
森林総合研究所 バイオマス化学研究領域 木材化学研究室長 山田 竜彦 氏
「地上最大量の芳香族化合物資源『リグニン』のマテリアル利用の可能性」
(講演概略)リグニンは、植物系バイオマスの約15~35%を占める芳香核を主単位として持つ天然高分子であるが、材料利用における商用化は限定されてきた。最近になってリグニンの積極的な利活用を可能とする、いくつかの基盤技術が開発され、その商用化への期待も高まっている。ここでは、演者らの研究コンソーシアム内で行っている技術開発や地域バイオマス利用の観点から、リグニンという天然材料の可能性について講演する。
山形大学大学院理工学研究科 教授 熊木 治郎 氏
「高分子鎖構造の高分解能原子間力顕微鏡観察」
(講演概略)高分子の構造を分子レベルで明確化することは、高分子科学における最も重要な課題の一つである。原子間力顕微鏡(AFM)等の走査プローブ顕微鏡の発明により、物質を原子・分子分解能で観察することが可能になったが、ソフトマテリアルである合成高分子を真に分子鎖レベルで実像観察することは困難であった。演者らは、二次元膜である高分子Langmuir-Blodgett膜等を用いて、AFMの性能を最大限に引き出すことにより、高分子を分子鎖レベルで実像観察できることを見出し、その知見を基に、孤立鎖、結晶、ステレオコンプレックス、単分子膜中の孤立鎖などの一連の分子像を観察することに成功し、報告してきた。本講演では、高分子が形成する様々な構造を分子鎖レベルで観察した例を紹介する。
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