2025年10月27日月曜日

2025年10月/第465回月例会

2025年10月7日(火) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

㈱ENEOSマテリアル 研究開発本部 

                     主幹研究員      知野 圭介 氏

「マルチネットワークエラストマー『熱可塑性と耐熱性の両立』」

(ご講演概要)これまでのエラストマーのマルチネットワーク(多重架橋)技術を概観するとともに、我々が開発したマルチネットワークエラストマーについて紹介する。強力な水素結合で架橋した熱可逆架橋ゴムは加硫ゴムに近い引張物性を示すが、耐クリープ性は満足するレベルにはなかった。そこで、水素結合に加え、共有結合、面架橋の3種類の架橋を導入することにより、熱可塑性でありながら、高強度で高い耐クリープ性を実現した。

2025年9月25日木曜日

2025年9月/第464回月例会

 第464回月例会

2025年9月17日(水) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

東京大学 先端科学技術研究センター

                           教授   瀬川 浩司 氏

「ペロブスカイト太陽電池ーその技術開発の現状と展望」

(ご講演概要)2050年カーボンニュートラルに向けてわが国では再生可能エネルギーの導入拡大が求められている。本年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギー電力の割合を4~5割に引き上げる目標が示され、なかでも軽量かつ高性能なペロブスカイト太陽電池については20ギガワットという具体的導入目標が明記された。本講演ではこのペロブスカイト太陽電池の技術開発の現状と展望について紹介する。

2025年8月/第463回月例会

 第463回月例会

2025年8月21日(木) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

 大阪大学大学院 理学研究科高分子科学専攻

                         助教    小林 裕一郎 氏

「廃棄硫黄を用いた環境調和型硫黄ポリマー材料の創成」

(ご講演概要)本講演では、余剰硫黄を用いた硫黄ポリマーの創製と社会実装について概説します。従来の硫黄ポリマーは、180 ℃以上の高温合成や不安定性、加工性の低さなどの課題を抱えていました。講演者のグループは、これに対し、超分子概念の導入と逐次重合法の確立という革新的なアプローチにより、室温・低環境負荷での硫黄ポリマー合成に成功しました。この技術により、安定性や加工性が向上し、自己修復性やマテリアル及びケミカルリサイクル性といった新たな機能が発現しています。これは、電池材料や自己修復材料など、多岐にわたる次世代機能性材料としての可能性を拓くものです。

2025年7月/第462回月例会

 第462回月例会

2025年7月17日(木) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

NOK㈱  グループR&D 技術研究部 材料研究課

                            課長 青柳 裕一 氏


「カーボンニュートラルへ貢献するゴム材料」

(ご講演概要)近年、カーボンニュートラル社会の実現が求められる中、ゴム材料はその特性を活かして重要な役割を果たすことが期待されている。最新のゴム製品開発や、それを支える最新の分析技術について述べる。

2025年6月/第461回月例会

 第461回月例会

2025年6月11日(水) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

化学物質評価研究機構 東京事業所        主管研究員 藤原 広匡 氏


「高圧水素ガス適合性高分子材料開発の為の評価」

(ご講演概要)カーボンニュートラル社会の実現とエネルギーセキュリティの確保は、エネルギー政策における最重要課題である。エネルギーキャリアとして極めて重要な役割を担う水素は、貯蔵・運搬など多様な使用環境に対応する必要があり、特に高圧条件下での利用が想定されている。本稿では、高圧水素環境下で使用されるシール部材用エラストマーに着目し、高圧ガス特有の評価手法を含めた適合性評価の取り組みについて紹介する。


2025年5月/第460回月例会

 第460回月例会

2025年5月21日(水) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

横浜ゴム㈱   材料機能研究室

                      主幹     鹿久保 隆志 氏

「ゴムと金属の接着解析について」

(ご講演概要)タイヤやゴム製品には、ゴム材料以外に金属や繊維などの補強部材が用いられる。これらの補強部材は、ゴム製品の強度、機能や耐久性を向上させる。異種材料である補強部材とゴムの接着は、これらの性能を維持するために高い信頼性が求められる。今回の講演では、ゴムと金属の接着の形成と劣化、解析内容について紹介する。

2025年4月/第459回月例会

 第459回月例会

2025年4月17日(木) 於:会場とZoomによるオンラインとの併催

東京大学  先端科学技術研究センター

                    教授・所長    杉山 正和 氏

「カーボンニュートラル実現における水素・アンモニア・カーボンリサイクルの役割」

(ご講演概要)カーボンニュートラルの実現には,再生可能発電だけでなく,製造から利用に至るまでCO2を排出しない再生可能燃料が必要となる.水素,アンモニア,そして大気中のCO2を原料とする合成燃料・化学品原料の我が国における需要は数千万トンと見込まれており,これらを大量かつ受容可能なコストで製造するためには,再エネ資源に恵まれた海外の適地において,太陽光・風力をエネルギー源として水電解水素を大量製造するギガワット級の大規模プラント構築が不可欠となる.このためには,再エネ電力の時間変動を前提としたプラント技術はもちろんのこと,サプライチェーン構築やルール形成における国際協調が不可欠であり,産官学が連携した取り組みが求められる.また,再エネ電力をベースに水素キャリアや合成燃料・化学品原料を製造する技術の重要性が高まっており,変動する再エネ電力に対応し,貴金属などの資源制約を受けない新技術開発が期待されている.