第418回月例会
2021年10月19日(火) 於:Zoomによるオンライン開催
東京大学 教授 酒井 崇匡 氏
「テトラPEGゲルの発明とゲルに関する普遍法則の発見」
(講演概要)溶媒を多量に保持したゴムである高分子ゲルの弾性は、これまでゴム弾性理論のモデルを用いて議論されてきた。本研究において、ゴム弾性理論のモデルを用いることの妥当性について、極めて均一で制御可能な網目構造を持つテトラゲルを用いて検証を行ったところ、矛盾する結果を発見した。さらなる調査の結果、この矛盾は、ゴム弾性モデルでは考慮されない「負のエネルギー弾性」が原因であることが判明した。この負のエネルギー弾性は、高分子ゲルが持つ溶媒が原因であり、高分子ゲル弾性はゴム弾性とは本質的に異なることを示している。