第396回月例会
2019年6月12日(水) 於:東部ビル(赤坂見附)
東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 教授 菅野 了次 氏
「超イオン導電体の創出と全固体電池 -電池材料と固体電気化学」
(講演概要) 固体中をイオンが高速で拡散する物質は、超イオン導電体や固体電解質などと呼ばれ、電池やセンサーへの応用が期待されてきた。最近リチウム系では、イオン導電率が室温で10-2 Scm-1を超え、有機溶媒系に匹敵する値を示す物質Li10GeP2S12(LGPS)が2011年に、より高いイオン導電率を示すLi9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3が2016年に見出されるとともに、固体電解質を用いた全固体電池が他の電池系と比較して優れた出力特性を持つことが明らかになった。電池の固体化によって、電池のパッケージングの自由度が増し、安定性・信頼性が向上して作動温度が広がることによって、電解液を用いる電池では達成できなかった高容量や高速充放電が可能になると期待されている。蓄電池を全固体化する試みを紹介する。